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磯見俊裕

俺の周りにいるヤツや、今日初めて会った人、気になる人・・・
とにかく「人」を紹介していこー。
第一回目は、美術監督の磯見俊裕。

 映画の美術監督は、家を建てたり、穴を掘ったり、ニセブランドもの作ったり、ニセ看板にニセ標識、ニセ新聞にニセ一万円札、ニセねずみの死体と、ニセモノ作りに励むのが仕事だ。磯見と出会ったのは、20年前だから、ひどい昔だ。大阪の知り合いの事務所に行ったら、長いすで寝ていたバカがいた。この事務所で働いているわけでもないのに、ここに住み着いている、という。バカがうつるとヤバイんで、俺の視界から抹殺しようとしたのだが、不幸なことに目が合ってしまい、運悪く酒まで飲んでしまい、俺の「てなもんやコネクション」では、ついに映画界に足を踏み入れてしまった。その後、日本映画界には、よほど人材がいないのか、様々な作品の美術を担当し、毎日映画コンクールなどで受賞までしたのだから、日本の未来は絶望のドつぼだ。
 最近は知らないが、磯見には二つの大きな特徴がある。一つは、苦悩する表情だ。時々、やけに深刻な顔つきになり、人類の、地球の、宇宙の苦悩を一身に背負ったようになる。それは周囲に人を寄せ付けないほど深い苦しみに見える。そして、悩みにパッケージされたまま、食事をする。すると、一瞬にして苦悩は消え、人類も地球も宇宙も救われる。そう、磯見は腹が減っていたのだ。このややこしい特性には、何度も遭遇した。まさか今回は違うだろう。何か事件が起こったのか?親族に不幸?哲学的テーマに挑戦中?世紀の大発明?そんな事は無い、原因はいつも同じだった。・・「腹、減っててん」・・・アホだ。
 二つ目の特性は、電車好き。磯見は酒も好きだ。飲むと、句読点が使えないのか、シャベリの1フレーズが長くなる、からむ事もあるし、ケンカもする。で、皆と別れ帰路に着く。電車に乗る。寝てしまう。中央線は、東京ー高尾間を往復している。寝込んだ磯見を乗せた電車は、何度か高尾に着き、何度か東京にも着き、最終的に高尾でとまる。駅員に起こされた磯見は、高尾の旅館に泊まる。これが、一度や二度ではない。三度や四度でもない。なんせ、高尾の駅員とは顔なじみだし、旅館は常連で「毎度どうも」の世界だ。すさまじいほどに電車好きなのだ。嘘だと思うんなら、今夜にでも高尾の旅館に行ってみるといい。旅館の窓を開け、外の山で寝ていた猿を起こし、カップ酒を飲みながら長々と話し続けている磯見に会えるはずだ。どうか、眠たくても寝かせてもらえない、かわいそうな猿を救ってやって。


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