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吉永マサユキ


写真家
 去年の6月から、新宿南口に100点を越す、巨大な写真パネルが展示されているのを見掛けた人は多いと思う。この「新宿ID」の全写真を撮影したのが写真家吉永マサユキだ。この中には、俺の写真もある。俺の撮影は、"俺の思い出の新宿は?"ってことで、「闇のカーニバル」で撮影した、新宿2丁目のクラブ"NEW SAZAE"の前で行われた。吉永はサクサクとカメラをセッティングし、ものの数分でサクッと撮影し、俺達はサッと飲みにいった。ところが、この写真が実にいい。プロだから、あたりまえなんだろうが、それにしてもスゴ腕なのだ。周囲の風景となじんで、カッコつけることもなく、普通に写されている俺。テレもカッコづけも無い。この"普通"を写すのは、なかなか難しい。写される側が、撮られる準備をする前、緊張もリラックスもする前の、素の状態を素早く写すからこそ、撮り手が吉永だからこそ、写せる写真だ。
 吉永とは、「JUNK FOOD」のパンフレットに、撮影参加してもらったのがきっかけで知り合った。俺は、コンセプトやテーマの衣装をまとった写真は苦手なものが多い。例えば、”亀の甲羅”を撮り続けた連作写真、工事現場に転がっているコインロッカーの鍵に「海辺の囁き」とタイトルされた写真、-そんなのあるか!?-、そーいった写真は何も感じない。写す側と写される側の距離を感じさせてくれる写真が好みだ。距離は多種多様だ。対象にどっぷり浸る距離、対象を突き放す距離、写す人独自の距離・・・。そういった距離感が、伝わる写真がいい。吉永の写真は、対象もおもしろいし、距離感もおもしろいし、撮った当人もおもしろい。一連の暴走族や右翼やアウトローを撮った写真群、写される側は写す側に気を許している。しかし、写す側はその関係にべた付いていない。俺の写真を撮った時と同じように、吉永独自の距離が写真に切り取られている。撮り手が、写真が、しっかりと大地に根を降ろしているからだ。
 「聴かれた女」の上映初日の飲み会で、俺はかなり酔っ払い、店を出ると転んだ。それも、言い訳の利かない大胆なカッコ悪さで、大の字にこけた。見上げると、吉永の笑顔が目に入ってきた。二日後、吉永主催の時期はずれの新年会に参加した。そこで、吉永は満面笑顔で、恐らく俺が吉永と知り合って初めてみる至福感に包まれた笑顔で、「あんなぁ、監督、このまえ、こけてん」と参加者に喋くっていた。それは、吉永のガキ大将の頃をホウフツさせる笑顔でもあった。大阪十三の街中で、5歳の吉永が鼻水をたらした友達に話しかける、「あいつなぁ、ションベン漏らしよってん」。いまだに、酒を飲むとケンカの話で盛り上がる、ガキ大将カメラマン吉永マサユキ。おもしろい。



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コメント 5

そじょん

ワークショップレジストの生徒です。ワークショップではお世話になりました。
>撮り手が、写真が、しっかりと大地に根を降ろしているからだ。

ぐぐっときました。この言葉!!
映画見に行きます!!3月3日イベント行きます!

ところで、私たちのサイトがオープンしました。「聴かれた女」バナー貼らせていただきました。
http://www.roonee.com/resist/index.html
このブログもリンクさせていただきたいのですが。
by そじょん (2007-02-20 16:07) 

ma34

>そじょんさん
ワークショップでは楽しませてもらって、ありがとう。
ぜひ、みんなで劇場に遊びに来な。
飲み会もやってるよ。
さっそく、バナー貼っとくよ。
by ma34 (2007-02-20 22:30) 

sarah*

吉永塾長も、「おもしろかったよー」と言ってました。

resistのメンバーで、観にいきますからね!
楽しみにしています。
by sarah* (2007-02-20 23:22) 

ma34

>sarah*さん

週末は、必ず劇場にいるんで
来たら声かけてくれー。

PS:2・24はオールナイトイベントに出るんで
  飲み会はやれないと思う。念のため
by ma34 (2007-02-21 00:03) 

そじょん

監督~!!

リンク、ありがとうございますっ!

映画+トーク、楽しみにしています~

3.3ひなまつりに行く予定です。
by そじょん (2007-02-22 09:40) 

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